学習塾として

皆さんはじめまして。「稲垣教育研究所」所長の稲垣浩太郎です。

「稲垣教育研究所」は岐阜県高山市にある、学習塾とフリースクールを合わせたような性質を持った場所です。「あたらしい学校」(オルタナティブスクール)を謳っています。小中学生をメインとして、高校生から浪人生、大人までの学習者のさまざまなニーズに対応します。勉強に困っている方(当事者・保護者)、学校にまつわる問題に悩んでいる方、新しいことを始めたい方は、少しお付き合いください。

学習塾として


まずは学習習慣を身に着けることを目的とし、各学年に応じた「5科のワーク」とドリル(プリントテスト)によって読み書き計算のたしかな土台を作ります。今あなたが中学生であれば、一つのわかりやすい目標として、飛騨地区の公立の雄・斐太高校に入学することに設定してみましょう(あるいは自分なりの目標があるかもしれません)。

勉強は自宅でもくもくとやればよい。そう言ってしまえば話は簡単ですが、昔ながらのテレビやマンガというメディアに加えて、現代はSNS、YouTube、ソーシャルゲームなど様々な誘惑が多いのが辛いところです。そこでまずは週に1回でも、学習空間に集まって勉強をする時間を設けてみませんか。

稲垣教育研究所では効率的に学習効果をあげるために、以下の3つのポイントが重要だと考えています。

1、ちょっとした強制力
2、進捗管理とフィードバック
3、大人の視線


それぞれ説明します。

1、ちょっとした強制力


なかなか勉強のモードに入れないという生徒には、ちょっとした強制力が必要です。なにもスパルタ教育をしようというのではありません。「ちょっとこのテストやってみよう」とか「類題でこんな問題もあるよ」と促すようなイメージです。急にクイズやパズルを出されて、妙に燃えてしまうことってありませんか?

稲垣教育研究所では、オンライン学習システムによって適切なレベルデザインができるとともに、経験豊富な講師陣がそれぞれの生徒の力量を見極め、適切な課題を提示します。
取り組んでいる問題のレベルが足りていないようなら、もっと歯ごたえがある問題を出します。前提となる知識が身についていないようなら、前学年の内容に戻ってかみ砕いて指導する必要があります。分からないまま先に進むというのが、成績不振の原因になるからです。場合によっては、ホワイトボードを使って個別に説明することもできます。

そもそも放課後に時間を指定して塾にやってきて、勉強に取り組もうというのがすでにちょっとした強制であると言えるかもしれません。ここに学習塾の価値があります。

2、進捗管理とフィードバック

何をどこまでやったか、前回と比べて今回はどのように変化しているか、というのは大変重要な指標になります。そこで、日々の定期テストの結果、小テストや模試、受験期であれば過去問の点数などをきちんと記録し、フィードバックします。

「ただ記録するだけ」と侮ってはいけません。変遷を可視化し、分析する中で自分の弱点が明確になるからこそ、対策が立てられるのです。意識というものはものすごく人間の行動に影響を与えます。たとえばダイエットにおいては「食べたものを記録する」「毎日体重計に乗る」というだけで多大な効果があることが知られています。

長年、学習塾で指導してきた経験として、成績が伸び悩んだりひどい点数をとる生徒は、たいてい自分のテストの点数を把握していません。これは自己防衛の一種で、自分の点数と向き合うのが辛いから忘れようとするのです。あるいは認識する前に視界から排除しようとする。そうすると、はたから見て「勉強ができるようになりたくない」としか思えないような行動をとることになります。ですから、稲垣教育研究所では、基本的に定期テストの結果を持参してもらうことを必須条件とします。

ここは妥協せずに、きちんとデータ化しフィードバックする手助けをします。着実に伸びているのであれば、それがモチベーションUPに繋がります。

3、大人の視線

そして最後が「大人の視線」です。これは勉強をしている間じゅう監視している、というわけではありません。あくまでも「大人がその場にいる」というだけです。子供の勉強は、子供部屋よりも居間でやらせた方が学習効果が高い、という話を聞いたことがありませんか。親の視線が近くにあることによって、適度な緊張感が生まれ、すぐにフィードバックが得られるという安心感があるからです。

教育経済学者の中室牧子さんの『「学力」の経済学』という本ではこんな研究を紹介しています。小学校低学年の子供を持つ親が、家庭での学習にどのように関わっているのかを
1「勉強したか確認している」
2「勉強を横について見ている」
3「勉強する時間を決めて守らせている」
4「勉強するように言う」
の4つの項目で調べたところ、よい効果があったのが1「勉強したか確認している」2「勉強を横について見ている」であり、もっとも逆効果だったのが4「勉強するように言う」だったそうです。

ポイントは「親が興味を持って見ている、関心を寄せている」ということです。これは手間暇がかかり、根気が必要です。教育においては「待つ」ということがとても重要なのですが、ついつい口を出してしまったり、言うだけ言って確認はできずじまい、ということになりがちです。両親が共働きだとなおさら難しいでしょう。かといって、たまに顔を合わせて「勉強しなさい」というだけでは、勉強が苦手な子ほどストレスになってしまうでしょう。
中室さんは「子供に対して勉強しなさいと言うのはエネルギーの無駄遣いなので、やめた方が良い」とまで言っています(笑)。

2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大のヘックマン教授のインタビューから、こんな言葉を紹介しています。
「親自身が働いていたりして思うように時間を割けなければ、できる限りの時間を割きながらも、部分的に何らかの『助っ人』を頼んで、時間不足を補えばいいのです。かえって親の力量では与えられないような刺激を与えることにもなり、それは本人にも、社会にも良いことでしょう。」(日経ビジネスオンライン、2014年11月17日)

これをかなりのていど実現しているのが、公文式のシステムです。公文の先生は無理やりプリントをやらせたりしないし、計算方法を解説することもしません。その場にいて丸付けをしてフィードバックをくれるだけの存在なのです。子供はあくまでも自発的にプリントに向き合います。しかしこれが効率的な学習を実現させている。そのシステムに合わずに公文式を辞めてしまう子もいれば、勝手にどんどん先取り学習を進めていく子供もいる。

本質研究所でも、子供の自発性を重視します。それが「自分で何をやるかを考える(=自律と自立)」ということの意味です。できるかぎり快適な空間で、効率的に学習を進めるサポートをします。

以上が、効率的に学習を進めていくための3つのポイント、「ちょっとした強制力」「進捗管理とフィードバック」「大人の視線」です。